2005年センター試験第7問
「光害」(人工的な照明によってもたらされる大量の光)が夜を消し去るにつれて、ヨーロッパの空から星々が消えていく。正式な公害の原因とはまだ見なされていないが、工業地帯や都会から生じる過度に溢れる光は、数年前から郊外や田舎の夜の光景を覆い隠している。「北ヨーロッパの農村地帯の上空には、晴天時には通常およそ2000もの星が見分けられるはずである」とある天文学者は言う。ところが実際には、農村地帯で200、街の中心地域では20しか星が見えないのである。
このように光が溢れている主な原因は、まず高速道路やスタジアム、空港などの照明であるが、住居や会社、工場を照らす安全上の照明も一因となっている。こうした様々な光源から発する光の半分近くは上空に照射され、反射光をもたらし、最も明るい星を除いて星を埋没させてしまう。
星が"消えていく"のを座して待つ代わりに、ヨーロッパの天文学者たちは星々のための独自の戦いを始めることを決心した。1994年に設立された『夜空を守るためのフランス委員会』は、「光害」の他の局面にも注意を向けるよう試みている。例えば、人工的な強い光に曝されていることは、どのように植物の発育リズムに悪影響を及ぼし、鳥や昆虫の生態を乱すのかということに関する研究が発表されている。その一方で、人間もおそらくこの光害の影響を被っている。というのは、光害は睡眠を乱すことで生活の質を下げうるからである。長く暗い夜というものも精神の健康にとっては重要であるはずだ。
それでは皆さん、照明を消そうではないか!
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