2006年センター試験第7問
フランス人は都会で自転車を使うことにはある程度好意的であるとする調査結果が出ている。もし選べるならば、フランス人の13%が日常の移動手段として自転車を使うと答えているし、また自転車は将来、都市において最も発達する移動手段であると考えているフランス人は55%にものぼる。
しかし実際はフランスで自転車があまり使われていないことが知られている。フランス人にとって、自転車は何よりもまず余暇のためのものであり、都市での移動手段として使われているのは5%にも満たず、しかも使用頻度は減ってさえいる。フランスで1台の自転車が製造されてから走る距離は、オランダの約5分の1なのである。確かにオランダでは自転車の台数が人口を超えているし、1台の自転車が1年間に走行する距離は、平均して1000km以上にもなる。ヨーロッパでフランスより自転車の走行距離が少ないのはスペインとイギリスだけである。
こうした状況の原因は何か?いくつもの要因があるが、とりわけ社会における自動車の地位が、自転車は良いという意見に実践が伴っていないという結果を説明している。自転車を使うことに対する障害としてフランス人が引き合いに出すのが、自分たちの健康状態が良くないこと、移動する距離が長すぎること、事故を恐れること、自転車専用道路が少ないことなどである。
これは残念なことである。というのも、自転車には数多くの優れた点があるからだ。騒音は少ないし、エネルギーも殆ど使わず、停めておいたり移動する際にも場所を取らないし、そして何よりちょっとした行程には理想的な乗り物なのである。そうした移動では、自動車は公害の主因になってしまうのである。
しかし数年前からの交通政策によって、自転車の地位はフランスの街中で変化している。交通政策と自転車振興の教育が持続的に実行されて、都会の中心で自転車を使うことが奨励されてきているのである。確かに、自転車を使うことは人々の健康や社会的な繋がり、都会で生活することの喜びに繋がっていくということも忘れてはならないのである。
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