(7月29日)
   文化というものは本質的に記憶に関わる事である。つまり、いくつかの行動規範を知っているということと、それを実際に使えるということである。フランス文化に精通するということは、何よりもフランスの歴史や地理、国の歴史的建造物や記録、行動や思考の方法を知ることなのである。文化を持たない人間がいるとすれば、それは祖先の文化を継承したことがない、あるいは継承しても忘れたり失ってしまった人間のことなのである。だが西洋の文化は今なお一つの特異性を持っている。というのも、まず第一に、西洋文化は昔から異文化の存在や価値を認めないわけにはいかなかったし、異文化との融合を受け入れざるを得なかったからである。さらに西洋文化は、少なくとも18世紀以降は、元々の文化から離れても大丈夫なだけの力量を身に付けてきたのである。
  1. un certain nombre de ~: いくつかの~
  2. s’en servir=se servir de ces codes du comportement
  3. posséder:基本的な意味は「所有する」だが、「知る、 精通する」と訳す場合もある。「posséder son latin ラテン語に精通している」
  4. déculturé:dé+culturé、「de-, dé-」は「反対・剥奪・分離・除去」の意を表す接頭辞。「déconnecter 接続を切る」「désagréable 不愉快な、嫌な」
  5. Un être déculturé:現実には文化を持たない人間はいないので、ここでは仮定条件として訳出した。
  6. de longue date 古くから(の). 「Je le connais de longue date. 私は彼を古くから知っている」
  7. amener qn à+inf. (人)を徐々に~するようにさせる。「Le président a été amené à prendre de brutales décisions. 大統領は強引な決定をせざるを得なくなった」
  8. s'arracher à (de)~:~から自分を無理に引離す。「s'arracher au plaisir 快楽を断ち切る. s'arracher d'un lieu 渋々ある場所を離れる」
  9. valoriser:~の価値(評価)を引き上げる 「Le passage du chemin de fer a valorisé ces terrains. 鉄道が通るようになってこの辺りの土地は値上がりした」ここでは西洋文化が異文化を取り入れて元来の文化から離れても、その確固たる存在は揺るがないだけの能力を持ち得るに至ったということで、多少意訳した。

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