(8月3日)
   写真芸術の秘密に近づくのに、inventerという単語の二重の意味について考えると興味深いだろう。inventerとはもちろん創造することであり、無から何かを生み出すということである。しかし同時に、inventerのかつての意味で、もはや法律家しか使わない意味として、前もって存在している物を発見するという意味もあるのだ。自分の庭から宝物を掘り出す人間は、法律的にはその宝物の発見者(inventeur)と呼ばれるのである。写真家はこの二重の意味によればまさにinventeurなのである。なぜなら写真家が撮影するものは、目の前にすでに存在していたものだ。もし存在していなかったのなら写真家はどうやって被写体を撮影できただろうか。しかし同時に、興味深い魔法によって、写真家は自分のヴィジョンを世界に示し、そのヴィジョンが写真家自らにさまざまなイメージ、写真家なしでは決して存在しなかったイメージをもたらすよう強制していると言ってもいいのである。
  1. création:創造、創作活動なので「芸術」と意訳した。
  2. approcher:ここでは他動詞。「に近づく、近寄る、近づきになる」という意味で通常目的語は人や動物。その他、自動詞としてapprocher de~で「~に近づく」、さらに代名動詞としてs’approcher de~で「~に近づく」という用法もある。
  3. faire sortir:sortirの意味上の主語は省略されている。直訳すれば「無から何かが生じるようにさせる」
  4. au préalable:あらかじめ、前もって(préalable:前提条件)
  5. sinon:接続詞「そうでなければ」。ここでは「Si+大過去」の代わりをしている。
  6. comment l'aurait-il photographié:修辞疑問文。「どうやって撮影できたか、いや撮影できないであろう」(pouvoirの意味の補足した)
  7. vision:「見通すこと、予見、ヴィジョン」vision du monde で「世界観、世界像」。ただしここでは、vision au mondeでimposer A à B。
  8. dirait-on:On dirait que+ind.「まるで~のようだ」という表現で、On diraitの部分を従属節内に挿入した形。
    =On dirait qu’il l’oblige à lui fournir~
    挿入する際には主語・動詞が倒置する。
    直説法のOn dit que~でも同様の表現がある。
    C'est, dit-on, le meilleur restaurant de la ville.(そこはこの町で一番のレストランだそうだ)
    =On dit que c'est le meilleur restaurant de la ville.
  9. obliger A à B:AにBを強いる。
  10. sans lui:やはり「Si+大過去」の代わり。後続の条件法過去と組み合わせている。

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