10 (8月6日) |
モーツァルトがインスピレイションを引き出したのは、ただ自分自身からだけであった。外界の細部は彼に何の影響も与えなかった。自然には無関心だったので、『田園交響曲』や『四季』を作曲するはずもなかった。旅行中でさえも、彼は風景を見ていない。彼は作曲し、瞑想するのである。この永遠の少年が、手帖から目も上げずにヨーロッパを駆け巡っていたのを思い描くことは大切である。誰と一緒に旅しているのか知りもせずに、彼は旅行していたのである。「ナポリは美しい町です」「ヴェネチアはとても気にいりました」旅のことで彼が書き記すのは、これだけである。 |
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