18  (8月14日)
   ポンヌフはパリにある近代の橋の最初のものであり、また最も有名な橋である。ポンヌフは、その構想によって、中世という時代に終わりを告げるものであった。
   1556年、アンリII世の時代に、橋の建設は当時のパリ市長の反対にあった。また他の橋に住みついていて、橋を作る必要がないと思っていた商人たちにも反対された。
   最初の石が敷設されたのは、やっと1578年になって、アンリII世の息子であるアンリIII世によってであった。工事は政治的混乱のために中断されたが、アンリIV世によって再開され、1603年6月20日に橋の竣工式が行われた。そして4年後、アンリIV世が現在の名を橋に授けたのである。
   ポンヌフはその大きさだけでなく、橋上に家のない初めての橋という理由からも、すぐさまかなりの成功を収めた。橋の上に家がないので、それまで橋上からセーヌ川を見ることができなかったパリ市民は、はじめて川の流れを見ることが出来たのである。
   ポンヌフは民衆の熱狂を呼び起こし、洗練されたものもあれば俗悪なものもある首都のあらゆる楽しみが集まる場所として知られるようになったのである。
  1. Pont-Neuf:直訳すれば「新橋」neufはもちろん数詞ではなく「新しい、新品の、できたばかりの」という意味の形容詞。当時としては一番新しい橋であり、かつそれまでの橋と違って初めての石造りの橋でもあった。ただし現存するパリの橋としては最古である。
  2. neuf:neuf は「新品の」という意味の「新しい」、nouveau は「今度の」という意味の「新しい」
    Mon nouvel appartement n'est pas un appartement neuf.「私の今度のアパルトマンは新築ではない」
  3. marchands installés:後出のle premier pont sans maisons dessusという表現とも関係するが、中世では主な橋の上には家を建てるのが通例で、橋の通行税や橋上の家からの家賃などが橋の維持費にあてられた。
  4. n'a été posée que:ne~queは時間や時期を強調する表現として使われている。「~しかない」「~にすぎない」では訳せないので、工夫が必要。
    Je n'ai repris le travail que plus tard.「だいぶ経ってからやっと仕事を再開した」
  5. l'a inauguré:l'=le=le pont。
  6. il lui a donné le nom qu'il porte:最初の ilはアンリIV世、qu'ilの ilはポンヌフを指す。
  7. permettant:le premier pontにかかる現在分詞。一文が長いので分けて訳出。
    permettre à+名+de 不定詞「〔物事が〕~することを可能にする」
  8. étant reconnu:主語の Il(=Le Pont-Neuf)にかかる。

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