30  (8月26日)
   広告は私たちの生活の中にごく自然に入ってきた。しかし広告は、興味深いものであると同時に、我慢ならないものにもなりうるのだ。広告に抵抗しようとしている人も、いつの間にかついつい広告に心を惹かれてしまうし、時には心惹かれていることに気付きさえしないのだ。そしてテレビの画面で何十回と見た商品を買ってしまうのである。ビールなんてみな同じ味だと言う人もいるが、そういう人でも広告が印象深かったビールを買ってしまうものなのである。かつては情報は口伝えでやり取りされていたが、今はメディアが情報を伝えている。フランス人は、一般にあまりに攻撃的だと判断する広告には反対する。しかし、広告の映像は時には非常に美しいこともあり、真の芸術作品になるのである。そしていずれにせよ、私たちは広告のない世界を想像することなど出来ないのである。
  1. aussi intéressante qu'insupportable:前文(広告は自然に生活に入った、つまり「広告=良いもの」)と逆接の接続詞を介して続いているので「広告=悪いもの」という趣旨の内容となる。aussi (A) que (B)は、通常なら「(B)と同じくらい(A)」と後ろから訳すところだが、日本語では後置された部分が文のポイントとなるので「aussi (A) que (B)」の(B)が後にくるように、すなわちフランス語の順通りに訳出すべきである。(「我慢ならないのと同じくらい興味深い」では"興味深い"を強調することになってしまう)
  2. Ceux:関係代名詞の先行詞として「人々」を表す。
  3. y résister:=résister à la publicité
  4. finissent ~ par:finir par+不定詞「最後には[ついに]~する」
  5. un jour ou l'autre:いつか、そのうち(挿入句なのでカッコでくくるなど自分で印をつける!)
  6. se laisser:se laisser+inf.不定詞が他動詞で seがその直接目的語の場合「~されるままになる、~される」(一般に過去分詞一致なし) 。不定詞が自動詞だったり、seが間接目的語だったりすると意味が変わるので辞書で例文を確認すること。また訳例も参照すること。たとえば、se laisser séduire「誘惑に身を任せる」、se laisser tromper「みすみすだまされる」
  7. tenter:「~の気をそそる、心を引く」だが、「~を試みる、企てる」という意味もある。
  8. en achetant:このジェロンディフは同時性や理由などの意味は特になく、フランス語の順序通り訳す。
  9. Un tel:telは代名詞で、不定冠詞とともに用いられて「ある人、某」
  10. dira、achètera:推測の単純未来。
  11. celle:=bière
  12. aura marqué:主節の動詞が単純未来なので、それよりも前のことで前未来となっている。なお、marquerは「印(マーク)をつける」という意味だが、ここでは「人の心に刻印を残す」ということ。
  13. se transmettait:代名動詞の相互的用法。主語は形は単数のonだが、意味的にはもちろん複数。
  14. médias:広告の発信元としてのメディア。
  15. si beaux qu':si 形容詞/副詞 que …「とても~なので…」
  16. de toute façon:ともかく、いずれにせよ
  17. peut-on imaginer~?:修辞疑問文なので否定文として訳出。

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