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芸術の役割を十分に理解するには、何が人間を特徴づけているか、何が人間を他の動物と本質的に区別しているのか、生物の連綿とした連なりの中で何が人間に傑出した地位を与えているのか、何が人間の威厳と高貴さを作り出しているのか、といったことを考えるのは無益なことではない。動物は己の中に、多かれ少なかれ絶対的な衝動しか感じないし、また動物はその衝動に従ってしまう。それは動物の本能であり、食欲であり、欲求であって、さらには飼い主が教え込んだ反射的動作である。動物にとって、行動するということは自分自身の自然に服することなのである。 人間はそれ以上を望むのである。行動することだけでは人間には十分ではない。人間は「十分に納得したうえで」行動することを望むのであり、自分自身でそのようにも言っているのだ。人間は自らの行為の動機、自分を取り巻いて影響を与える事物や事実の「理(ことわり)」を知り、判断することを望むのである。そこから、言葉の最も広い意味で学問というものが生じて来るのであり、とりわけ過去についての学問である歴史学が生まれて来るのである。 |
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