38  (9月3日)
   毎年あの世に関する多くの書物が出版されている。死は、ある人達にとっては 尽きせぬテーマなのである。しかし、死に問うてみても無駄である。死は何も言わないだろう。人間が地上に誕生して以来、いまだかつて死は何も語らない。死は常にそこにあるが、誰も死を本当には知らないのである。死は真正面からは見つめられないと言う人がいれば、死を恐怖の女王と呼ぶ人もいる。キリスト自身も死を恐れた。人々は死者に尋ねようとしたが、聞こえたと思ったものは、何の証しもない以上、受け入れられはしない。瀕死の人の唇から何かを聞き取ろうと耳を傾けても、聞こえてくるのは錯乱した片言でしかなかったのである。
  1. Des quantités de:(une) quantité de+無冠詞名詞、des quantités de+無冠詞名詞「多くの~、たくさんの~…」(主語の場合、動詞は deの後の名詞の数に一致する)
  2. inutile de:Il est inutile de+不定詞[que+接続法]「~するには及ばない、~してもむだだ」Il estを省略して用いられることもある。
  3. elle ne se peut regarder en face:これは17世紀のモラリスト、La Rochefoucauldの次の文を想定していると思われる。Le soleil ni la mort ne se peuvent regarder fixement.(太陽も死も凝視できない)
  4. faute de:faute de+名詞「~がないので、なければ」名詞の代わりに不定詞が続く構文も可。
  5. n'étaient perceptibles que les balbutiements:倒置構文

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