48  (10月22日)
   100年余り前、 フランス人の政治評論家トクヴィルはアメリカ合衆国中を旅行して、次のようなことを指摘した。アメリカ人は、とくに自分達の政府の運営に実際に参加しているという意識をもっているので、フランス人とは異なっている。一方、反対にこの点では、フランス人は自分達の政府に関して、主体的であるより客体的であると感じている。トクヴィルによれば、最も顕著なアメリカ人の特徴は、共通の利益を求めて、あらゆる種類の組織に統合し一団となろうとする傾向であった。この誰もが持っている努力に対する意欲やそれを発達させる訓練のおかげで、アメリカ市民は民主的な体制の中で一緒に働くことを学んだのである。
  1. Il y a un peu plus d'un siècle:トクヴィルがアメリカを旅したのは、7代大統領ジャクソンの時代(1829年~1837年)なので、今から数えれば170年位前である。この文章自体かなり以前のものである。
  2. Tocqueville:政治思想家。1805年生-1859年没。アメリカ旅行で著した『アメリカの民主政治』(1835年)は近代民主主義思想の古典と言われている。なお、トクヴィルについてはWikipedia(→日本語版、→フランス語版)を参考のこと。
  3. affaires:affaire は複数で「実業、公務」の意味がある。 cf.affaires de l'État「国務」ここでは、やや意訳した。
  4. objet、sujet:objet「客体」、sujet「主体」ここでは属詞として形容詞的に用いられている。
  5. en vue de:~を目ざして

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