2-14  (11月25日)
  文学しか信じていない、つまり我々の職業的技法しか信じていない作家たちがいる。彼らには言うべきことがなく、長い間何も言わないですむような新しい方法を作り出すことばかり考えている。
  言うべきことはないけれど、何か言うべきことがあると信じている作家たちもいる。彼らは最も多数派である。
  また言うべきことはなく、そのことを知っていて、嘲笑している作家たちもいる。彼らは最も正直である。彼らはまるで左官のように面白い物語を作り出す。家が空っぽであることは彼らにはどうでもいいことなのだ。しかし彼らは家の中に宝があるなどと言い張ったりはしないのである。
  1. ne croient qu'à:croire à~「~(の存在・実現・真実性・価値など)を信じる」ただし強い希望・信仰心を表す場合には en を用いることがある。(croire en Dieu 神を信じる)
  2. rien à dire:à+不定詞で必要・目的を表す。「~すべき、~するはずの」 J'ai beaucoup de choses à faire.(私はすることがたくさんある)
  3. le savent, s'en moquent:中性代名詞は共に前文を受ける。
  4. Peu leur importe que:一種の倒置構文で実質的な主語はque以下である。(節中の動詞は接続法)節ではなく名詞が実質的な主語として続く構文もある。Peu importent [importe] ses protestations! (彼(女)の抗議などどうでもいい[主語と動詞の一致は任意])また、単独で Peu importe!(どうでもいい)という表現もある。
  5. prétendent:prétendre que+直説法。ただし否定文・疑問文では接続法を用いることもあり、ここではcontienneと接続法になっている。

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