2-27  (1月26日)
  ルネサンスの時代には、職人が芸術家になり、親方は天才と呼ばれるだろう。いずれにせよ古代の美徳によって定義される間は作品はその作者に帰せられるのだ。もし作者が知られていないならば、その作者を見出さなければならない。鑑定というものの第一の役目は、やむをえず流派の名前が作者の個人名の代わりになることもあるかもしれないが、作者がどこに属しているかを判断して公言することなのである。というのは、作り手は作品の中で自らを表現するということなのか。いや、そうではなく、そうした考えは時代遅れであって、作り手は作品の中で自らの作風を示し、自分の才能を見せるものである。なぜなら、作品を造るということは、繰り返し述べていることだが、何かを言う意思から生じるのではなく、何かを作る意思から生じるのであるからだ。つまり「faire」という動詞は主語と同時に目的補語も必要とするということなのである。
  1. Dans tous les cas:「とにかく、いずれにせよ」= en tout cas
  2. renvoie:他動詞。renvoyer A à B「AをBに差し向ける」また直接目的に"人"を取って「人(A)にBを参照させる」目的語なしで用いられることもある。
  3. celui-ci:直前のson auteurを指す。
  4. attribution:「帰属」
  5. quitte à:通常は、quitte à+不定詞で「(1)~することになってもいいから、~するのは覚悟して (2)~することになるかもしれないが、~の可能性もあるが」ここでは名詞的な用法の不定詞の代わりにce que節がきている。なお、quitteは「~を免れた」という意味の形容詞。
  6. faute de mieux:「やむを得ず、仕方ないので」
  7. tienne lieu du:tenir lieu (à …) de+~「(à …)にとって〉~の代わりになる」deの後は通常は無冠詞名詞がくる。
  8. Est-ce à dire que:「C'est-à-dire que+直説法 つまり~ということだ」の疑問形
  9. y:y=dans son œuvre
  10. fait montre de:faire montre de~「~を示す」
  11. ne procède pas d'une volonté:procéder de~「~から生じる、起こる」

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