2-32  (2月6日)
  霧が晴れつつあった。どうして自分の家だと判らないのか。すべてが無個性だからなのか。私は自分の家に戻ってはいないのか。木々が靄から現れるのが窓から見えたが、木々には陰影というものがなかった。しかしそれらの木々はあまりにもはっきりとしていて、まるで叫んでいるように私を疲弊させるのだった。さらに遠くには、まだ少し霧がかかっているが、家々があるのが判った。しかし私はその家々をはっきりと見分けられなかった。それでも、私の家に似ているそれらの家々はそこに存在しているのだった。
  1. brouillard:後出のbrumeより濃いものを指す。
  2. Je me demandais:一種の自由間接話法(直接話法と間接話法の中間的な叙述)と考えて、現在形で訳出してある。以下の訳文も同様である。
  3. ils se montraient trop:前文とは逆接的なので「しかし」を補った。
  4. autant que s'ils avaient crié:autant que si~「まるで~のように」
  5. cachées:後出のdes maisonsにかかる。

→ 問題文に戻る

→ 読解練習帖2 index


→ accueil( Home )