2-32 (2月6日) |
霧が晴れつつあった。どうして自分の家だと判らないのか。すべてが無個性だからなのか。私は自分の家に戻ってはいないのか。木々が靄から現れるのが窓から見えたが、木々には陰影というものがなかった。しかしそれらの木々はあまりにもはっきりとしていて、まるで叫んでいるように私を疲弊させるのだった。さらに遠くには、まだ少し霧がかかっているが、家々があるのが判った。しかし私はその家々をはっきりと見分けられなかった。それでも、私の家に似ているそれらの家々はそこに存在しているのだった。 |
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