33  (8月29日)
   パリは様々に語られる都市である。ちょうどギリシア人がアテネについて様々に語ったのと同じである。何故なら多くのパリがあり、外国人のパリは、パリの人々にとってのパリと表面的な関係しか持っていないからである。パリを車で行き来したり、ある美術館から別の美術館へと向かうような外国人は、ある世界の存在に気づかないのだ。なぜならすれ違っても見てはいないのだから。一つの街で自分の時間を無駄にしてしまわなければ、誰もその街を十分に知ったとは言い切れないだろう。大都市の魂とは、そんなに容易には捉えられないのだ。大都市の魂と意思疎通するには、その魂を内包している場所で退屈したり、少し苦しんだりしなければならないのである。
  1. au pluriel:「複数形に」が原義だが、ここでは数を増やし意訳した。
  2. de surface:うわべだけの
  3. soupçonner:ここでは「疑う」というよりも「感じる、気づく」
  4. un monde qu'il côtoie sans le voir:直訳すれば「見ることなくすれ違う世界」だが、関係代名詞以下を理由を表す部分として訳出した。もちろん普通に関係詞節として訳すことも可能。
  5. A moins d:à moins de+inf「~しない限り」。節がくれば à moins que+sub.
  6. se laisser:se laisser+inf.不定詞が他動詞でseがその直接目的の時「~されるままになる、~される」

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