2-5 (1月22日) |
友だち同士の二人が夕食を終えようとしていた。カフェの窓からは人通りの多い通りが見えた。二人は生暖かい風が吹いてくるのを感じた。風は穏やかな夏の夜にパリを吹き過ぎて、道行く人々は顔を上げてどこか知らない所へ行ってみたい気になるのだった。 友人たちの一人、アンリ・シモンが深く溜息をついて言った。 「あぁ、俺も歳を取ったな。寂しいもんだ。昔はこんな晩は、期待にわくわくしたもんだがね。今じゃ未練がましい郷愁しか感じないよ。人生って、あっという間に過ぎていくな」 すでに贅肉がつきだした彼は年の頃45歳ほど、しかし頭はすっかり禿げていた。 |
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