2-7 (2月4日) |
ダングラーとルヌーは全く人気のない車両に乗り込んだ。 「座席は56番と57番ですね。客は私たちだけのようです。静かなのはとってもいいですね。窓側と通路側、どちらがいいですか?」とダングラーが訊いた。 「あぁ、そんなことはどっちでもいいですよ」 「窓側をどうぞ。お休みになるにはその方がいいでしょう」 「ありがとう、とても疲れてるんですよ」 ルヌーは座席に深々と座ると、いつまでも欠伸をしていた。 「そうやって私を寂しい孤独の中に放っておくんですね」とダングラーは言った。 「でも、それは・・」 「さあさあ、よく判ってますよ。あなたは規則的な生活を送っていると説明してくれたけど、それがとても嬉しかったんです。私はと言えば、もう歳なのでだんだん眠りにくくなってきてるんですよ。眠ろうとしてもダメなんです。さあ、切符を渡してください。検札の時に車掌に見せますから。あなたを起こさないようにね」 |
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