La pendule anglaise frappe dix-sept coups anglais. (Eugène Ionesco, La Cantatrice chauve)
イギリスの振り子時計がイギリスの17時を鳴らす。 |
ウージェーヌ・イヨネスコ(Eugène Ionesco、1909年~1994年)は、ルーマニアに生まれ(父はルーマニア人、母はフランス人)、幼少年期をフランスで過ごし、その後ブカレストの大学に通うためや戦争中にルーマニアに戻ったこともあるが、1940年代半ばからはフランスに定住し、フランス語で作品を書いた。(1970年にはアカデミー・フランセーズの会員に選出されている) 『禿の女歌手(La Cantatrice chauve)』は1950年に初演されたイヨネスコ最初の戯曲で、引用した文は冒頭のト書きの一部である。引用した部分以外でも anglaisという形容詞が執拗に使われて、それが一種の滑稽感を醸し出すと共に、言葉や物の異常な繁殖によって世界の不条理がグロテスクに描かれるのである。 イヨネスコはこの後、『授業(La Leçon)』や『椅子(Les Chaises)』といった作品を発表し、サミュエル・ベケットと共にフランスの前衛劇(nouveau théâtre)、反演劇(anti-théâtre)の代表的な作家となる。 セーヌ左岸にある小劇場ユシェット座では1957年以来『禿の女歌手』と『授業』が上演され続けている。 ◇ ユシェット座公式サイト: www.theatre-huchette.com ウージェーヌ・イヨネスコについてもっと知りたいなら、 → 日本語版 Wikipedia → フランス語版 Wikipédia |